21. ”手前味噌”熟成なってやがて完成

       〜 熟成8ケ月、見事なアメ色に仕上がった 〜

あなたは人目のお客さんです

◆ はじめての味噌づくり、仕上がり期迎える

  秋の装いの学び舎「ふるさと体験農業センター」  
秋の装いの味噌づくりの学び舎「ふるさと体験農業センター」

 ふるさとの昔の味が恋しくて、還暦を過ぎた男がはじめて味噌づくりに挑戦したのが、まだ雪深き3月だった。麹づくりから始まって、ふかしたみそ豆のすりつぶし、そして豆・塩・麹との混ぜ合わせ等々の仕込み、仲間と共同して3日間かけて40`の樽仕込みができあがったのだった。
 越後の雪が消え、やがて田んぼに水が張られて田植えがはじまって、早苗の緑がじゅうたんのような春から夏へと、越後の一番いい季節が過ぎ去っていった。仕込まれたみそ樽はこの間、ひっそりと熟成を続けていたのだった。以来7ケ月がたった。やがて11月、味見ができるという完成の時期が近かづいてきた。

◆ 6月には、念入りに第1回目の切り返し

 仕込みは、50`gほどのポリ容器に、中身を厚めのビニール袋の中に収め、表面をガーゼで覆い、アルコール消毒して密封、7`の重しをして寝かせていたものである。仕込み当時は、すりつぶした豆と麹、塩の混じり具合がやや堅すぎる感じだった。はたしてなじむものかと一抹の不安を覚えていたのだった。
 そして3ケ月が経過。教えどおり6月中旬、第1回の切り返しの時期となった。重しをとって恐る恐るガーゼを取ってみた。表面にうっすらと醤油のような液がにじみ出ている。色も以前より濃くなっている。麹の独特の香りがいい感じだ。ご飯しゃもじでひとかきするとしっとりとしたいい感じだ。これはものになっていそうだ、と実感した。
 切り返しは大変な作業だった。要領の分からないまま、ナベ、かま、ポリ容器とあらん限りの入れ物を持ち出して、樽からご飯しゃもじでかきだし移し変え、下のものを上に、上のものを下にと切り返したのだった。そして再びガーゼで覆い、アルコールを吹きかけ消毒し、密封をして終わった。
 この6月の作業で、しっとり具合、色合い、そして舐めてみた味わいから、吾ながら何か密かに自信めいたものが沸くのを禁じえなかった。

      

◆ 10月、2度目の切り返し、ほぼ完成!

 1回目の切り返しが終わって、梅雨を越えた。少し重しを軽くしてやった。中身はふれなかった。夏がきた。暑い暑い夏だった。全く手を加えることなくじっくりと熟成するのを待った。そして10月。だいぶ涼しさも加わってきたついせんだって、待望の2回目の切り返しを実行した。
 切り返しの苦労は、前回と同じ。違ってきたのは、前回以上に色合いが濃密なアメ色に、そしてしっとり感が倍加したことだった。もうすっかり完成した味噌になっていた。舐めてみるとまろやかな味噌の味だ。麹の効いた独特の味わいになっている。
 試食用にタッパーに少量取り出し、後は満遍なく最後の切り返しを行って密封。完成となるあと1ケ月を心待ちに熟成を待つこととした。


  ◆ 「味は抜群!」、やっぱり”手前みそ”?

 試食用にとった”手前みそ”でその晩、早速味噌汁にして味わってみた。色はちょっと濃い目だが、うまみ、おいしさは予想にたがわず”抜群”な味わい。市販ものに比べ数段上ではなかろうか。手作りの麹と仕込み、混ぜ物のない純粋熟成のなせる技であろうか。
 完全な出来上がりまではあと1ケ月余り。さらなる味の深まりが楽しみだ。40`もの味噌を完成したらどこへ配って歩こうか。はたして貰ってもらえるだろうか?

トップページへ戻る

一つ前へ-(八方尾根〜唐松岳〜鹿島槍ケ岳〜爺ケ岳縦走)

 

 こんにゃくづくりに挑戦